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高岡古城公園の観光地としての未来



 本丸と梅林曲輪を結ぶ赤い橋「朝陽橋」は、高岡古城公園名物。
 また、内堀に「お濠巡り遊覧船」が運航している。












ここ数日の投稿にもあります通り、2014年より、高岡古城公園(高岡城跡)と高岡大仏を拠点とした高岡観光ボランティアガイド「やまたちばな」に所属。
未熟ながら、2019年からは代表を務めております。

入会当初は、喋りに自信がないことからなかなかガイドに踏み出せず、高岡古城公園のガイドをようやく一人でできるようになったのは、2018年のことでした。
それからは、ガイド活動が楽しくなり、ここ2年で結構な数のガイドをこなしたと思います。

主に担当するガイドは、観光協会経由で依頼が来る大手旅行会社のツアーバスです。
時々個人客の方もありますし、一度だけですが射水市の中学生(宿泊学習)にガイドしたこともありました。

北陸新幹線開業後、ガイドの依頼が大幅に増え、特に桜・紅葉の季節(4月と11月)は月20~30件レベル(2019年)。
今年の4月も、新型コロナウイルスさえなければ、かなりのガイド依頼がある予定でした。




元々、高岡古城公園が好きだった私。
高岡のまちづくりに興味を持ち始めた2008年頃、観光地にも関心を持つようになったのですが、特に古城公園が一番だと思っておりました。
(それまでは、ただの公園と思っておりました・・・)

2014年に観光ボランティアガイド養成講座を受講した後、5つある団体の中から、やまたちばなに声をかけてもらったのは、運命だったのかもしれません。
時間はかかってしまいましたが、他の観光地よりも「古城公園の語り部」となれたのは、誇りに思いたいです。




しかし、こうやってガイド活動を重ねていくと、高岡古城公園の観光地としての「課題」も、色々見えてきているところです。
今回は、その「課題」について書きたいと思います。









 本丸~二の丸(市民会館)間の土橋に残る石垣。
 築城時の貴重な遺構とされている。








今回紹介する「課題」は、あくまで個人の一意見です。
また、統計等のエビデンスはなく、直感的な話になりますので、予めご理解ください。




さて、本題に入りますが、私が感じる「高岡古城公園の観光地としての課題」は、大きく次の2点です。



①そもそも市民が「高岡城跡」の良さをあまり認識していない

②観光地として「稼ぐ」力がない



他にも細かい課題はたくさんありますが、観光地として成長するために必要な重要課題は、この2点に絞られてくるのかなと思います。








①そもそも市民が「高岡城跡」の良さをあまり認識していない



 高岡古城公園(国指定史跡・高岡城跡)の案内図。
 この曲輪・堀・土橋等の形状は、築城時から残り続けている。





そもそも、地元市民にとって「高岡古城公園」とはどのような認識でしょうか。
これも特にアンケート等の調査ではなく、あくまで私がこれまで感じてきた印象ですが、
おそらく「緑あふれる広い公園」というような認識が強いように思えます。
(私自身も、中学生頃まではそのような認識で、あまり気にも留めない存在でした)

確かに、明治に入ってから城跡保存のために「公園」として指定され、
裁判所、図書館、美術館などの公共施設、野球場、相撲場などのスポーツ施設が園内に設置。
現在でも、市民会館(休館中)、博物館、体育館、動物園が園内にあります。
また、里山のような植物も多く、桜や紅葉の名所でもあることから、「自然公園」「市民憩いの場」としての役割を、長年果たしてきたと思います。



しかし、高岡古城公園は、かつてはれっきとした「城」だったことを忘れてはいけません。

もちろん、「城跡」ということくらいは誰もが知っていることだと思いますが、
正直「城なんてないのに・・・」という言葉は今まで多くの方から耳にしました。
天守その他の建造物が、一切残っていないからです。
「城=天守」というイメージが強いのがとても大きく、それが残っていない高岡城は地元からも「城もどき」のようなイメージになっているのだと思います。

でも、高岡城跡の大きな魅力。
それは、「曲輪、堀、土橋、土塁」といったいわゆる「縄張り」の部分が、築城時からほとんどそのままの形で残り続けていることです。
これはとても重要なことで、全国でもあまり例のない誇るべき話なのですが、地元市民もあまり知らないのではないでしょうか。
(天守が残っている有名な城でも、縄張りを見たら本丸など一部分以外は宅地化・農地化されてしまっている、という例は多いでしょう)
実際、私もこの辺をちゃんと知ったのは、「やまたちばな」に入ってからです。

そもそも、「城」は「お殿様の居住地」でもありますが、「防御施設」であることが何より重要。
そして、その防御力が試されるのは、天守などの建造物よりも、曲輪や堀などの縄張りです。
つまり、「城=天守」ではなく、「城=縄張り」と言っても過言ではないです。
したがって、それがしっかり残る高岡城は、全国でも大変貴重な城跡だと思います。

そんな高岡城跡は、「国指定史跡」になっている他、富山県で唯一「日本100名城」の指定も受けています。
「城跡」としての価値が、大きく認められている証拠だと思います。
ちなみに「日本100名城」はスタンプラリーが行われているため、スタンプ目的で来城される方も非常に多いです。



このように全国に誇れる城跡であることは間違いないのですが、まず地元市民にも知られていない。
高岡城跡だけでなく、「地元のよさ」をあまり語れない人も多いのではないでしょうか。
口を開けば、「なーんもない町」という言葉もよく聞きますよね・・・。
まず地元に理解されていない魅力を、観光客に伝えるのはなかなか難しいと思います。






~解決策を考えてみる~

今後、「高岡古城公園の語り部」として、観光客はもちろんのことですが、市民にも魅力を伝えていけたらと思っております。
もちろん年齢層等は関係なくと行きたいところですが、特に「小中高生とその親」が重要かなと。なんとなくです。

我々世代は「総合的な学習の時間」などで地域のことを学ぶ機会はありましたし、2学年下の世代からは「ものづくり・デザイン科」が導入されました。
しかし、この高岡城跡の魅力もそうですし、高岡の魅力を知る機会がまだまだ少ないのではないかなと思います。

まあ、それでも、10代の頃は特に「こんなまち」と思うのは仕方ないのかもしれません。
でも、「親や教員も含めて周りの大人が誇りを持っていないから」ととらえることもできるような気がします。
正直どちらなのかはわかりませんが、もし後者だとしたら、やはり何らかの取り組みが必要だと思います。









②観光地として「稼ぐ」力がない



 池の端堀(西外堀)沿いの桜。
 本丸西側(桜のあるところ)は約20mの崖地となっている上、その先(写真左側)は沼地が広がっていたため、堀は池の端堀のひとつしかない。





「観光」ということについて、私もかつて大きな見識誤りをしておりました。
「観光客がたくさん来ることに価値がある」と思っていたのです。

しかし、重要なのは「観光客受け入れによって、地域経済に利をもたらすこと」だと学びました。

観光でもイベントでも、「来場人数」が重視されがちですが、本当に重要なのは「まちにどれだけの稼ぎがあったか」。
この目線で高岡古城公園を考えていくと、大きな課題が見えてきます。




観光ボランティアガイドとして一番対応している、大手旅行会社のツアーバスを想定します。
1時間程度のガイドが多いです。最近では1時間を切るようなガイドも増えています。
また、日本100名城や「続・日本100名城(県内では富山城と増山城が指定)」に指定された「北陸名城ツアー」が大半です。

まず、長年「公園」としての歴史を歩んできたので、入園料はかかりません。
中の施設も公共施設がほとんどなので、入館料がかかるところはありません。
(もっとも、1時間程度のガイドだと、100名城スタンプのある博物館以外の施設に立ち寄る時間もありません)

同様に、駐車場はバスも含めて無料です。

お土産物の買えるスペースは、三の丸茶屋内の売店にありますが、全体で1時間程度だと立ち寄る時間がありません。
また、同じく三の丸にイタリアンレストラン「古城亭」がありますが、食事する時間なんてもっと取れません。

名城ツアーなので、前後はほとんど富山城・七尾城・金沢城のどれかです(増山城という話はあまり聞いたことがない・・・)。
つまり、行程上高岡市内で立ち寄る場所は、高岡城のみです。富山県内唯一の場合もあります。

そういったツアーの行程を見ていると、宿泊地はだいたい金沢市。
宿泊地や食事場所が高岡市内という話はあまり聞いたことがありません。

なお、我々ガイドには、交通費として1人1,000円をいただいております。
また、お土産代わりに会で制作したガイドブックを販売しておりますが、時間次第では売ることもできません。




いかがでしょうか。
この一通りの流れで、高岡市にいくらお金が落ちるでしょうか。
確実にあるのは、最後に書いたガイド交通費くらい。
可能性があるのは、同じくガイドブックの売上。あとはたまに小竹藪駐車場や三の丸にある自動販売機で飲み物が売れるくらいでしょうか。
観光客1人あたりで計算したら、最悪の場合50円程度しか落ちないことになります。
(ガイド1人に対し観光客20人で計算)

ツアーバスも、もう少し高岡市や富山県に特化した行程のものになれば、まだ高岡市での宿泊・飲食の可能性が出てくるかもしれません。
また、個人客なら、その可能性は更に増えると思います。
しかし、我々が対応するほとんどは前述の名城ツアーですし(もっとも、個人客はガイドを頼まない、というのもあると思います)、そうでなくても「高岡古城公園」としてお金の落ちる仕組みがほとんどないのが現状です。

高岡市の統計によると、高岡市の観光客入込数は年間3,793,961人(2018年)。
内訳を見ると、高岡古城公園は市内トップの895,500人です(高岡大仏92,000人、瑞龍寺168,773人)。
また、やまたちばなとしては、年間約2,000~3,000人の観光客を古城公園で対応しております。
しかし、これだけ観光客が来ていても、地域経済へのプラスがほとんどないのです。




~解決策を考えてみる~

①入園料(入城料)をとる
②駐車料金をとる
③高岡城に特化した資料館を作り、入館料をとる
④園内の土産物屋や飲食店をもっと充実させる

・・・単純に考えれば、このあたりが思いつきますが、どれも簡単には行かない思われます。
①②は、長年「公園」として親しまれているため、料金をとると提案したらどうなるか容易に想像がつきます・・・。
(①の場合なら「有料エリアを設ける」、②の場合なら「大型バスのみ有料にする」といった方法も考えられますが)
③はお金がかかる話になりますし、④も含めると史跡・公園内での出店はハードルが高いと思われます。




なので、まだ現実的かなと思われる方法は

⑤周辺での充実した出店
⑥周辺店舗への回遊を促すような観光ルートの企画
⑦ ⑤⑥を踏まえた積極的な営業
⑧本丸広場などでの定期マーケット開催

あたりかなと・・・。

最近は、駐春橋からすぐのところにイタリアンの「コッテロ」がオープン。
小竹藪側の県道44号(旧国道8号)沿いには、小中学校時代の同級生がパン&カフェの「月とカンパニオ」をオープンさせました。
こういったお店が増えていけばいいなと思いますし、あとは池の端側も充実しないかなと・・・。










 本丸広場にある城主・前田利長公像。








長くなりましたが、私が最近感じている「高岡古城公園の観光地としての課題」はこのようなところです。
そもそも新型コロナウイルスの影響で、今後観光産業そのものがどうなっていくかわかりません。
そこが一番怖いですね・・・。

でも、これら課題については、これからしっかりと取り組んでいかなければと思います。
私一人の力ではどうにもならない話もありますが・・・。
まずは自分でできそうなところから考えて、実行していきたいです。


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